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世界には創業1000年以上の企業が12社あります。そのうちの何と9社が日本国内の企業となっています。
様々な要素が重なり合う中で営業しなければならない以上、創業1000年を超えるというのは非常に難しいことであり、この9社から学ぶことは非常に多いといえるでしょう。
何故1000年以上も続けていくことが出来ているのか、それぞれに共通点があるのかについて解説していきます。
世界最古の企業は大阪府にある
現存する世界最古の企業は大阪府にある金剛組です。この会社は578年に四天王寺を建立するために創業されました。
その後、江戸時代に至るまで四天王寺お抱えの宮大工として活動を続けましたが、時代が進む中で四天王寺だけでなく様々な寺社、城などを施工する役割を担っています。
創業年である578年時点ではそもそも日本に会社という概念はありませんでした。しかし、四天王寺を建立するためには特別な技能を持った大工が何人も必要でした。
そこで聖武天皇は百済から宮大工を招きました。そのうちの金剛重光は四天王寺を建立するだけでなく、その後も四天王寺の改修や補修を行えるように金剛組を創業したということです。
会社という概念がなかった中でこういった組織を作り出した金剛重光は非常に先見の明があったといえるでしょう。
宮大工という、時代を超えて必要とされる仕事をしていたことも長寿企業を生み出した理由の1つです。しかし、それだけではありません。
1868年に金剛組最大ともいえるピンチが訪れます。この年に四天王寺は寺領を失います。これにより、四天王寺から禄を受けられなくなりました。
これは今の会社で言うところの最大の得意先を失うようなものです。
そもそも金剛組は四天王寺のために作られた会社なので、この時につぶれてしまっても不思議ではないかもしれません。
しかし、金剛組は四天王寺以外の寺社仏閣を次々と施工し、1903年には大鐘楼を建立しました。
これにより、大きな評価を獲得した金剛組は勢いを一気に取り戻します。
1934年には室戸台風で倒壊した四天王寺五重塔を再建し、再び四天王寺に関する工事も担うようになりました。
このように最大の顧客を失っても決してあきらめない経営が1000年を優に超える創業年数を支えています。
金剛組が長く存続できている理由はいくつかあります。その1つが宮大工であるということです。
宮大工はなかなか変えの利く職業ではなく、安定して仕事を獲得することが出来ます。
2つ目は仕事で結果を出し続けたということです。四天王寺は何度も焼失してしますが、そのたびに金剛組によって再建されました。
四天王寺の施工精度を見れば、金剛組の技術の高さがよく分かります。3つ目は柔軟性を持っていたことです。
金剛組は創業から1000年以上も四天王寺を最大の顧客としていました。
それゆえ1868年に四天王寺から禄を受けられなくなったときには、大きなダメージがあったといえるでしょう。
しかし、四天王寺だけにこだわることなく、様々な寺社仏閣の施行をこなすことでその技術を世間に知らしめました。
このように最大の顧客から利益が出せなくなったとしても、他の仕事で評価を高めていくことは現代の企業にも求められる柔軟性といえるでしょう。
最大の顧客はいつまでも最大の顧客とは限りません。その時代や情勢に合わせて、自社の力を発揮できる仕事を探していく姿勢が世界最古の企業を強く支えています。
創業1000年を超えている企業は旅館業が多い
創業1000年を超えている企業を見てみると、旅館業を行っている企業が4つも含まれています。ここから旅館業が息の長い業種であることが分かります。
旅館業は何故これほど長い期間行い続けることが出来るのでしょうか。その理由の1つは基本的に流行り廃りの影響を受けにくい業種であることです。
世の中にある仕事のほとんどは流行りと廃りの影響を受けます。
例えば江戸時代には笠屋さんがありましたが、現在において笠だけで商売を成り立たせているお店はほとんどありません。
このようにかつては一般的でも現在は一般的でないという業種は多くあります。
そういった業種のお店は時代の変化に合わせて売るものを変えなければ生き残ることが出来ません。
旅行にも多少のブームはありますが、旅行時代を行う方がいなくなることは基本的にないので旅館業は長続きさせることが可能です。
もう1つの理由は古いことがマイナスにならないことです。業種の中には古いものよりも新しいものの方が歓迎されるケースが少なくありません。
新しくできたお店に行ってみたいと思う方も多いでしょう。しかし、旅館の場合は古ければ古いほど、貫禄や伝統、由緒など魅力が増していくことがあります。
昔からある旅館に行きたいというニーズは高く、旅館業を長続きさせることに繋がっています。
また、旅館業は時代の変化に合わせやすいという特徴もあります。旅館においては食事や予約のシステムなどを柔軟に変化させることが出来ます。
お客さんが変化を望む部分は変化させ、存続を望む部分は存続させるという柔軟な経営が可能です。
伝統芸能の分野も長寿企業が多い
伝統芸能は一朝一夕に生まれるものではないので、そこにかかわる企業は長く存続できる可能性が高いです。
日本には伝統芸能が重んじられる風土があるので、一層その傾向が強くなっています。ただし、伝統芸能であるだけではなかなか続かないケースもあります。
現代風の商品やサービスとコラボレーションをするなど、伝統芸能を扱う企業であっても柔軟性のある工夫をしています。
伝統を重んじるだけでなく、柔軟性を見せることが長く続くための鍵となります。
長く存続できる企業には理由がある
創業1000年を超える企業に共通して言えるのが、長く続けられる理由があるということです。
何となくで経営をしていればあっという間に倒産してしまうかもしれません。
伝統を重んじつつ、しっかりと技術を継承すること、時代に柔軟性を見せることが欠かせないといえるでしょう。
これはどんな企業にも言えることです。長く続く企業を生み出したいのであれば、創業1000年を超える企業から学べることが多くあります。
日本に9社も創業1000年を超える企業があるということは、日本には長く存続する企業を作れる土壌があるということです。
企業が倒産すれば様々な方や会社に迷惑が掛かってしまいます。それゆえに起業をする際には長く続けられるように工夫を惜しまないことが大切です。
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