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近年は個人事業主として事業を行う人が増え、また、法人を設立することも以前より簡単です。
自分のやりたいことに自由に取り組める可能性が広がった反面、会社を辞めて働くということは、業務に付随して生じる諸々の手続きも、全て自分で行わなければならないということでもあります。
こちらでは、年金制度等について独立後の手続きで注意すべき点をまとめました。
独立後は制度加入などの手続き漏れに注意
夢を追って晴れて独立・開業に至ったとしても、それで終わりではありません。
独立後には税務申告や経理処理、契約締結、健康保険制度への加入など、これまでの会社員時代であれば、会社の経理・総務や営業担当の従業員が負担してくれていた業務を、全て自身で行う必要が出てきます。
独立直後は特に、やらなければならないことが沢山ありますから、うっかり手続きを忘れてしまう可能性もあります。
国の制度などにおいて会社員時代とではどのような違いが出てくるのか、結果としてどのような手続きが必要になるのか、あらかじめ大まかにでも調べておいて、漏れのないように処理をしなければなりません。
特に、会社所属と独立後で大きな違いが出てくるのが、国の年金制度です。この点、会社員の場合の年金制度はいわゆる「2階建て年金制度」となっています。
国民年金部分と、会社員ならではの厚生年金部分に分かれており、会社に入社すると制度に加入し、毎月の保険料は会社と従業員が折半で支払っています。
つまり、会社に属していると、自動的に国民年金と厚生年金の2つの年金制度へ加入しているということになるのです。
厚生年金部分があるために、月々の保険料は国民年金だけに加入しているより多く負担することになります。
一方で、厚生年金にも加入している分だけ、将来もらえる年金額が多くなるという恩恵もあります。
しかし、加入手続きは全て経理や総務が行い、費用負担も給料から自動的に天引きされていますので、会社に属している間、この「2階建て年金制度」について改めて考える機会は少ないかもしれません。
ところが、会社を辞めて独立するとなれば、このような会社の年金制度の枠組みからはずれるということになります。自身で、制度へ加入しなければならないのです。
法人を設立したら年金制度への加入は義務
会社員を退職して新たに法人を設立した場合は、厚生年金に法人として新規加入します。これは、法人を設立した人に法律で課せられている義務です。
具体的には、法人事業所の住所を管轄している年金事務所に対して、「新規適用届」という書類と、その他の必要書類などを提出することによって、年金制度への加入手続きを行います。
この届出提出は、厚生年金加入の要件を満たしたときから5日以内にするものと定められていますから、厚生年金制度への加入手続きも、法人設立手続きの一つにあらかじめ含めて考えておくと良いでしょう。
また、厚生年金加入の要件を満たすときというのは例えば、事業所が「法人事業所で常時従業員を使用するもの」のときです。
この「常時従業員」には、事業主のみの場合も含みますので注意が必要です。
手続きに際してどのような書類を準備すれば良いのかは、最寄りの年金事務所に問い合わせておきましょう。
さらに、独立後に法人を設立するのではなく、個人事業主として事業を行う選択肢もあります。
この場合にも、会社を辞めている以上、それまで加入していた厚生年金制度からは脱退することになります。
新たに、国民年金制度の「第1号被保険者」に加入しなおさなければなりません。
「第1号被保険者」というのは、国民年金制度のうち、学生や自営業者、無職の人が加入する制度です。
会社に属しているときには、国民年金制度部分には「第2号被保険者」として加入していますので、国民年金制度の枠組み内であっても、保険の種類を変更する手続きが必要なのです。
ちなみに、国民年金制度は「第3号被保険者」まであり、これには「第2号被保険者」の被扶養配偶者が加入することになっています。
個人事業主が国民年金の種別を変更するためには、会社を退職した翌日から14日以内に、自身の住所のある自治体で手続きを行う必要があります。
年金手帳と認印があれば基本的には手続きができますが、詳しくは自治体のホームページや窓口などで確認しましょう。
なお、自身に配偶者がいる場合には、配偶者の分の国民年金の種類も変更しなければなりません。
前述したように、会社員の扶養に入っている配偶者であれば「第3号被保険者」ですが、会社を退職して個人事業主となった人の配偶者は、事業主と同様に「第1号被保険者」として保険料を納めることになります。
手続き自体は難しくはありませんので、忘れないうちに済ませておきましょう。
必要な手続きは人それぞれ
ここまで、会社を退職して独立した後に必要な年金手続きについて解説してきました。
しかし、人によっては、解説した内容以外にも、年金制度に関連した手続きが必要になる場合があります。
例えば、法人が新規に厚生年金に加入するための要件として、事務所が「法人事業所で常時従業員を使用するもの」のときを紹介しましたが、実は他にも、厚生年金に新規に加入すべき要件が定められています。
どの場合に新規加入が必要なのかについては、最寄りの年金事務所などでしっかりと確認する方が、確実で漏れがありません。
また、個人事業主の場合、国民年金の種類を変更しただけでは、将来受け取る年金が厚生年金の分だけ減ることになります。
場合によっては、新たに老後の資金を積み立てる制度へ加入することも、自身で検討し、準備する必要が出てくるかもしれません。
このように、年金制度についてすべき手続きや、検討すべきことは人によって違いますから、自ら積極的に調べたり、必要であれば専門家に問い合わせたりするようにすると良いでしょう。
法人を設立するにしろ、個人事業主となるにしろ、独立後はどうしても収入が不安定となりがちです。
年金保険料を払うよりも、現在の出費をできるだけ切り詰めて生活していきたいという気持ちが生まれるかもしれません。
しかし、年金制度は加入が義務づけられているものであり、なおかつ自身の将来設計に関わってくることでもあります。
諸々の年金の手続きを行った上でしっかりと保険料を納めつつ、自身の将来の資金設計についても改めて考えてみましょう。
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