起業するなら選択肢に入れたい!小規模M&AやスモールM&Aとは?

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M&Aというと、グローバル企業や大企業だけが行うものだと考えられていましたが、今は全く違います。小規模な事業ほど、盛んにM&Aが行われていますし、事業展開の一つの手段としてM&Aを戦略的に使う企業も登場しています。

ここでは、なぜ、今M&Aなのか、注目されている小規模M&AやスモールM&Aにはどういうメリットがあるのかを解説していきます。

なぜ、いまM&Aに注目が集まっているのか?

事業承継問題は日本の喫緊の課題

数年前から事業承継が喫緊の課題として、国が次々の政策を打ち出しています。

また、事業承継をテーマにしたセミナーや催しが多く企画されており、一体なぜ、これだけ事業承継が叫ばれているのでしょうか?

2017年に発表された中小企業庁の試算では、今後10年で平均引退年齢の70歳を超える経営者は全体の6割超にあたる245万人に達し、そのおよそ半数である約127万人の経営者については、「後継者が決まっていない」いう衝撃な事実が示されました。

このまま放置すると、2025年までの10年間で、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるということで、日本経済の大きな問題として捉えられ、次々と施策が打ち出されることとなりました。

あとでも説明しますが、この流れで、第三者でも事業を引き継げるように、「第三者承継支援総合パッケージ」が発表され、親族内承継のみならず、第三者による承継を後押ししていく方向です。

有効な事業展開の選択肢としてM&Aが広く捉えられ始めた

後継者を親族内のみならず、第三者にも視野に入れることで、M&Aが後継者対策にも有効な手段として、認識されつつあります。また、買収する側の有効な事業拡大の戦略としてのM&Aも注目されています。

時代の流れが早いなか、どの企業も新規事業まではいかないけれども、次なる事業展開を素早く行うことが求められています。自社でイチから従業員を育て、ビジネスを構築していくよりも、今既にある会社や事業を買収することによって、事業展開のスピードを早めたり、シナジー効果を実現させたりすることが有効な選択肢として捉えられ始めています。

2019年7月25日に発表された帝国データバンクのレポート「M&Aに対する企業の意識調査」では、企業の35.9%が近い将来(5年以内)M&Aを行う可能性があると、回答しています。

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その内訳は、「買い手となる可能性がある」が22.2%、「売り手となる可能性がある」が7.9%、「両方の可能性がある」が5.8%でした。また、M&Aの必要性のこれからについてのアンケートについては、51.5%の企業が「M&Aの必要性は高くなる」と回答しています。

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2018年度版の中小企業白書によると、M&Aの実施目的は、「売上・市場・シェアの拡大」が最も回答が多い目的であり、次いで「事業エリアの拡大」「人材の獲得」「経営不振企業の救済」「新事業展開・異業種への参入」と続いています。

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特に「新事業展開・異業種への参入」目的のM&Aは、著しい増加傾向にあり、事業展開を考える上で中小企業でもM&Aが重要な施策になっていることは間違いありません。

小規模M&AやスモールM&Aのメリットは?

近年、「小規模M&A」「スモールM&A」という言葉が認知されてきました。「小規模M&A」も「スモールM&A」も意味的には同じで、中小企業や個人投資家などが小規模の会社を、事業譲受や株式譲受などの方法によって、他者の会社や事業を手に入れることを意味します。

スケールのめやすとしては、次のような考え方が一般的です。
・年商が数千万~数億円ほどの会社によるM&A
・M&Aの取引金額(売却・購入価格)が数百万円~1億円ほど

また、会社や事業のみならず、構築したサイトやメディアのみの売買もこの範囲に入るようです。日経新聞などでよく見る大企業のM&Aとはスケールが違い、事業によっては、個人で貯蓄できるくらいの金額で買えるものもあります。

そのため、個人が既存の事業を買い取り、すぐに経営者になることも可能になります。ゼロから事業を構築するよりも、手間やコストを減らすことができますし、事業によっては、ノウハウや技術、設備、販路、顧客などを引き継ぐことも可能となり、起業のスピードアップにつながります。

まとめると、小規模M&AやスモールM&Aのメリットは次の通りです。

・リスクのコントロール
買い取った事業が既にビジネスモデルが出来ており、販路や仕入先を確保できているのであれば、早い段階で事業をスタートすることができます。ゼロから事業をつくる場合は、黒字化までの時間がかかりますし、コストもかかり、当分持ち出しであることがほとんどです。M&Aで軌道に乗せる時期を早め、まだ体制が整っていないことによるビジネスチャンスの逸失を防ぐことができるでしょう。

・無形資産を受け継ぐことができる
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事業はたくさんの見えない資産に支えられてできています。ゼロからの起業の場合は、これを自分で初めから開拓していかなければなりません。M&Aでは、技術やノウハウ、販路、顧客、供給元など、たくさんの無形資産を引き継ぐことができます。

・時間の短縮
買い取った事業から引き継ぐことで、ゼロから全てを選択して決めていく時間を短縮することができます。

どうやって見つける?M&A案件の見つけ方

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では、M&A案件はどのように見つけたらよいのでしょうか。マッチングの支援をしてくれる機関や会社等の選択肢をご紹介します。

・事業引継ぎ支援センター
まずおすすめしたい相談先は、「事業引継ぎ支援センター」です。全国47都道府県に相談窓口を設置しており、無料で専門家やコンサルタントに相談することができます。事業引継ぎ支援センターでは、後継者の人材バンクがあり、M&Aによる企業や事業の購入を希望する場合は、この人材バンクに登録しておくと、後継者がいない会社の跡継ぎ候補として紹介される可能性があります。

起業したらすぐに人材バンクに登録したという方もいらっしゃいます。実際は起業家や起業志望の人材、買収希望者が登録されているようです。まだまだ知名度は低いですが、後継者不足に陥った際に、後継者となってくれる人材とのマッチングを受けられた中小企業や零細企業が増加しているようです。

M&Aに関心の高い方は、まずは登録してみてはいかがでしょうか。

8月21日の日経新聞では、このような記事がありました。

中小後継者「お試し」支援 経産省 
親族以外、譲渡前の入社に助成 候補者データ整備
後継者不足に悩む企業に、後継者候補を「お試し」入社を支援する制度を国が作っているというニュースです。具体的には、事業を譲り受ける人があらかじめ入社して働く機関の費用の一部補助を受けられます。

また、後継者候補を全国から探せるように、事業引継ぎセンターのみならず、民間のM&A支援会社、日本政策金融公庫などが持つ企業や人材のデータを共有できるようにするというものです。 事業承継マッチングを促進する取り組みで、今後も注目しておきたい動きです。

後述する第三者承継支援総合パッケージでも、さらに後押しされる模様です。image5(74)
・スモールM&A・小規模M&Aのマッチングサイト
「M&A」と検索してすれば、驚くほどたくさんのマッチングサイトやマッチング会社を見つけることができます。今後の案件マッチングのために自分のキャリアを登録しておくことも可能です。

代表的なサイトをご紹介しましょう。

TRANBI
もともとは製造業を営んでいる会社が創業したM&Aサポート会社です。仕入先が後継者不在で廃業の危機に遭い、後継者不足をM&Aで救いたいという想いから誕生した事業です。M&A専門のマッチングサイトで、事業承継や事業売買に特化したサイトです。中小企業の後継者探しのプラットフォームでもあります。成功事例も多く挙げられているようです。

日本M&Aセンター
M&A分野でシェアNo1を誇る仲介支援会社のサイトです。
案件情報をニーズごとに見ることができます。

CareerJet
日本中の求人情報が集まったサイトです。キーワードに「後継者」と入力すると、後継者募集の案件が多数見つかることがわかります。「社長候補募集」「後継者募集」このような募集が近年かなり増えてきました。

ビズリーチサクシード
人材紹介で有名なビズリーチ社が事業承継に特化したサービスサイト。事業譲り受け希望者
として登録しておくことが可能です。

あぐりナビ
農家の後継者探しに特化したサイトです。日本では、農業や酪農業の経営者の高齢化や後継者不足が深刻な問題となっています。その危機的な状況を脱するために作られたサイトです。

・地方の後継者マッチング支援策を活用する
後継者不足は地方になるほど深刻な課題です。よって、地方では、地方の企業の引継ぎ先を探す支援、すなわちM&Aによる引き継ぎを支援する機関が増えてきています。

京都起業~承継ナビ
京都府下で後継者を探している企業を掲載しています。


石川県能登の七尾市でもこのようなプレスリリースがありました。
後継者不足により地方都市が存続の危機にビズリーチ、石川県七尾市と事業承継プロジェクト開始~外部からの後継者募集と事業承継M&Aサービスを同時に提供~

実際に後継者募集!石川県七尾市求人特集というビズリーチのサイト上で、後継者を募集しています。

このような後継者募集とM&Aを同時に支援する取り組みがこれから増えてくると思われます。もし、地域でM&Aを考えている場合なら、その地域でのマッチング情報に注目しておくとよいでしょう。


また、「売りたい」「引き継いでほしい」という潜在的な課題を持ちながらも、引継ぎ支援機関に登録をしていない企業も多数あります。

それは、まだまだ現役だと後継者がいないことを課題だととらえていなかったり、自分の代で廃業しようとしたり、引き継ぐ人を探していることを知られたくない等、様々な理由が考えられます。

もし、M&Aで拠点にしたい地方があるなら、現地に行ってみることも一つの方法です。行政には、企業活動を担当する部署に相談をしてもよいでしょう。

商工会議所や商工会にも情報が集まっていることがありますし、相談先として有効です。地元の金融機関でも事業承継支援に力を入れているところもあります。

・マッチングイベントに参加する
このサイトを運営する株式会社ウェイビーでは、起業家や起業志望の方とともに、地方へ行き、現地の企業と交流する機会を持っています。というのは、地方創生事業にも積極的な会社であり、マッチングから定着までサポートされています。face to faceの出会いがもたらされると思います。

特に地方起業助っ人のサイトには、地方起業の事例や事業承継に関する個別相談会の情報など、選択肢や視野が広がる情報がたくさんあります。

ここまで国が後押し!第三者承継支援総合パッケージとは?

後継者不在が国の喫緊の課題となっていながらも、依然としてM&A案件数が年間4,000件にとどまっており、後継者不在企業127万社の引継ぎを母数として考えると不十分だと国は捉えています。

背景として、「売り案件が圧倒的に少数」「マッチングの成立が困難」「承継後の経営統合が困難」などの課題があり、これらを解決するための政策パッケージが2019年12月20日に発表されました。これが、第三者承継支援総合パッケージです。
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これからの10年で60万者(1年で6万者のマッチングを10年間)の第三者承継を目指すものです。

「パッケージ」という名前がついている通り、いくつもの施策をセットにした支援策です。image7(38)
・行政と民間のプラットフォーマーが連携して、仲介を促進
・地域金融機関と民間の仲介業者との連携強化
・事業引継ぎガイドラインの改訂
・経営者保証解除を支援
・事業引継ぎ支援センターの体制強化
・事業承継ファンドの積極活用で資金の問題を解決
・事業承継補助金の充実化
・事業承継ネットワークの体制強化で専門家を派遣しやすく、経営を早く軌道に乗せる支援
・承継トライアル事業
・税負担の軽減による買い手のコスト軽減
・株式や事業を買い取る資金の融資をしやすく

省庁の垣根をまたがった政策パッケージをここまで作ることは稀であり、そこまでして事業承継問題を解決したいという危機感が伝わってきます。

スモールM&Aや小規模M&Aもこの範囲に入ってきますので、政策には目を通し、いざというときには「これは有効に使えるのでは?」と考えられるようにしておきたいものです。

ご参考になれば幸いです。

まとめ

日本全体の課題である後継者問題と、ブレイクスルーを狙う企業や起業を志すビジネスパーソンの関心の高さが相まって、M&Aはぐっと身近になり、スモールM&A
や小規模M&Aという言葉が一般的になってきました。これからさらに盛り上がりを見せると思います。

関心のある方は、ぜひ情報収集ルートと協力できるネットワークを築き、自分にとって魅力的な案件に出会っていただき、きっかけにしていただきたいと思いますし、それが日本経済の活性化につながるものと確信しております。

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