娘婿を後継者に!事業承継にかかる税や資金を軽くする方法はある?

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事業承継で大多数を占めるのが、親が子供に引き継がせるケースです。しかし、実子ではない娘婿に事業を引き継がせる親族内承継では、承継後の事業に問題が起こる可能性があります。いくつかの対策や注意点を把握し、しっかりと実施してリスク回避をしましょう。

ここでは、自分の娘婿に事業承継する際に利用できる制度や事業継承の基本について紹介します。

娘婿を後継者に!事業承継の方法を知っておこう

娘婿に事業承継を行う場合は親族内承継となります。当然ながら娘婿を次の後継者として名指しするだけでは引き継げません。経営の跡継ぎには実務と株式の両方を承継する必要があります。ただし、義父または義母が娘婿を跡継ぎにしたいと強く希望していても、本人にその気がなければ事業承継後に経営リスクとなる可能性は低くはありません。

親族だからと言って、本人が次の経営者になる意志があるかどうかは分からない場合もあります。現在の経営者は、後継者となる娘婿と事業承継について話し合う時間を設ける必要がありますが、それ以前に普段から互いのコミュニケーションを大切にしておくのがポイントです。 娘婿とのコミュニケーションを密にしておくことで、経営のノウハウを伝え能力を高められるとも言えます。

真の意味で経営者となるには短期間では難しく、時間をかけて娘婿により多くの経験をさせる必要性は高いです。社内での権限を段階的に娘婿へ移して行くのも、いずれ後継者となる人材には大切なプロセスになります。事業承継と言っても単に株式や事業用資産を引継がせるだけではなく、後継者の知識や能力を高めるための教育や準備は早い段階から行うべきなのです。

事業承継には事業用資産と株式を娘婿へ贈与するか相続させる必要があります。譲渡であれば娘婿が事業用資産を買取らなければなりません。税金や資金など莫大な金額が必要となるケースは多いので、事業承継を考えるようになったら早期に専門家などに相談し、計画を立てて事業承継を実行してください。

娘婿以外に経営者の相続人となり得る人物が存在する場合は一定の配慮も必要ですが、株式が分散するのを防ぐ対策も必要です。娘婿に自社株を集中させて継承させると事業承継後に経営を安定させられます。

親族内承継の条件を考える

自社株式を親族に取得させるには、相続や贈与を行う必要があります。民法によって相続人となる親族の範囲は定められており、順序によって該当する人物が相続の対象者となるのです。

通常、経営者が逝去した場合には配偶者が相続人となり、子供がいれば第1順位に該当するため配偶者と子供の両方が相続人となります。

配偶者が亡くなっている場合には子供が、子供が亡くなっている場合には子供の直系卑属が該当しますが、該当者がいなければ第2順位である経営者の両親や祖父母が相続人となり、該当者がいなければ第3順位の兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなっていれば姪甥が相続人となるのです。 第3順位に関しては第1順位と第2順位ともに該当者がいない場合に限り株式を相続できます。

このように、相続や贈与が必須となる事業承継では、当然ながら相続人となり得る人物であるのが次の経営者になる条件です。この条件に、相続人の範囲ではない娘婿は当てはまりません。必ずしも相続人でなければならない訳ではありませんが、相続人以外の人物が経営者の財産である株式を相続すれば多額の税金が課せられるほか、相続税よりも多額となる贈与税の控除を受けることもできません。

後継者に娘婿を選ぶ時の注意点

1、経営者が存命中に娘婿へ承継させる場合

自社株式の生前贈与を娘婿にする場合、養子縁組をして1親等内の血族となっていれば相続時精算課税制度が適用され2,500万円までの贈与税が控除されます。養子縁組をしないまま贈与すれば多額の税金が課せられるほか、株式の譲渡をすれば株式取得のために多額の資金が必要です。

2、遺言で娘婿に株式取得をさせる場合

相続人を必要としないため株式を遺贈すると言う選択もありますが、遺贈であっても取得した株式などは課税の対象になります。加えて、配偶者及び一親等内の親族でない人物に贈与すると税金が2割加算されてしまうので、この場合でも娘婿を養子縁組していなければ、多額の税金に備える必要があるのです。

娘婿以外に相続人が存在するケースでは、遺留分にも考慮が必要になります。亡くなった経営者に自社株以外の財産がなかった場合、後継者となる娘婿に自社株を集中して取得させられなくなる可能性は低くはありません。

事業承継で娘婿を次の経営者にするなら利用すべき制度がある

1、資金調達に使える金融支援

株式取得や納税に充てる資金を低い金利で融資してもらえる支援制度です。事業承継をスムーズに行う措置として財務省所管の日本政策金融公庫などから融資されます。事業承継をスムーズに行うための措置で、事業承継・集約・活性化支援資金と呼ばれる制度です。

一定の要件に該当する必要がありますが、個人事業主や小規模な企業などでは最大7,200万円の融資が受けられる場合もあります。

2、娘婿以外の相続人と揉めたくないなら遺留分に関する特例を

娘婿以外の相続人は、遺留分と呼ばれる最低限の財産を取得する権利があります。相続人がほかにいる場合、先代経営者の財産を全て娘婿が相続すれば遺留分を侵害するケースも考えられ、株式の分散につながる可能性も低くはありません。娘婿が株式を集中して取得するには、遺留分に関する民法の特例を利用し、株式が遺留分となる財産の対象外にするのが重要です。

3、事業承継税制で相続税対策をしっかりと

娘婿の事業承継では相続税対策などを考慮すれば養子縁組によって相続の対象者になるのが必要と前述しました。しかし、事業承継税制を活用すると、非上場株式を対象に相続税や贈与税全額の納税が猶予されるのです。先代経営者から贈与や相続をして取得した株式の全てが要件に該当し、特例の対象者となった後継者が亡くなるまで猶予されるケースもあります。

この特例制度を受けるには平成30年4月1日から令和5年3月31日の期間に特例承継計画を各都道府県へ提出する必要がありますが、平成30年1月1日から令和9年12月31日の期間で行われた相続や贈与で取得された株式のみが対象です。事業承継をする計画があるなら早期に自社が事業承継税制の対象となるかを判断しましょう。

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