起業前の準備、やること、必要なものを現役起業家4名に聞いてみた
- 情熱と覚悟があればヒト・モノ・カネ・情報は後からついてくる。やりきる覚悟と情熱があれば、起業はうまくいく。
- 具体的に自分の事業計画や事業内容に不安があるようなら、壁打ちをし、PDCAのスピードを早めることが大事。
清水巧
Combinatorを創業したのは2014年の1月です。明治大学卒業後、営業を強くする名刺管理「Sansan」を提供するSansan株式会社に就職しました。その後、7ヶ月で独立し、現在の会社を立ち上げました。自身が起業の際に仲間集めに苦労した経験から、起業家向けに仲間集めのためのプラットフォームを運営しています。創業前、起業準備のノウハウがわからず、実際に起業してから「不要だった準備」をしていたり、逆に「必要だった準備」をしていなかった苦い経験をしました。これから起業する人たちに「同じ課題で立ち止まってほしくない」、今回はそんな想いで起業家に話を聞いていきます。
太田 英基
10年前の大学2年時に「タダコピ」という印刷サービスで起業し、5年ほど「タダコピ」を運営した後に2年間世界を周り、2013年7月に現在の会社を創業しました。「留学業界にイノベーションを起こす」というビジョンを掲げ、日本人のフィリピン語学留学のサポートを行っています。実際に語学留学に行った人の口コミプラットフォームを作り、語学学校選びのミスマッチをなくすサービスを展開しながら、海外留学後に海外就職を考えている人を対象にしたサービスも展開しています。年末に向けてフィリピンのみならず、欧米にまで展開することを考えている次第です。
今西 良光
僕は社会人経験を6年ほど積んで起業しました。新卒で日立製作所に入社し、官公庁向けのシステムの営業を4年ほど経験し、その後ファーストリテイリングでユニクロの店舗マネージメントを2年ほど経験しました。その後、大学院に一年間通い起業しました。顧客が商品やサービスなどに関する感想を企業にフィードバックして、そのフィードバックを元に企業の経営改善を支援することができるクラウドサービスを展開しています。
太田和光
カウモを2014年8月に創業しました。早稲田大学を2週間で中退し、エウレカでインターンとして働いた後、ヴォラーレ(現、ナイル)、Rettyなどを経て計4年間起業のために修行を積みました。現在は、ヒトとモノがつながる際に、どうしたらヒトがモノに愛情を見出せるのかということをテーマに、インターネットで解決していこうとしています。高校時代、環境プロジェクトで部活をしていて、モノをもっと大切にできないかと感じていた経験からいまのサービスを展開しています。
清水巧
「起業する際の準備をするにあたって、インターネットなどで起業家のインタビューなどを調べることがあると思いますが、ネット上では上手くいった起業家の美談や起業が成功した後のことしか述べられていません。そのため今回は起業家の方が起業する前に何をしていたか、どんなことに不満を持っていたかということについて詳しく聞いていきたいと思います。ではみなさん、まずはなぜ起業しようと思ったのかを教えてください。」
太田和光
「自分は18の時に大学を辞めていますが、ちょうど自分が入学する年に東日本大震災がありました。その時に家族から一万円ずつ集めて募金をしようと思いましたが、募金箱が無かったため、自分が募金活動団体を立ち上げようと思ったんです。活動自体は2週間程度続き、東京・神奈川・埼玉で200人ほど計1000万程度を集めて寄付をすることができました。この活動により達成感を得ていましたが、孫正義氏が100億円を寄付していたことを知り、日本を救いたいという思いは同じなのにアウトプットの規模が大きく違ったことに悔しさを感じました。そこで孫正義氏が執筆した本を読んだところ、孫正義氏は高校を退学していることがわかり、自分も辞めることから始めようという思いで大学を辞めました。結局のところ、自分の無力さからくる悔しさが起業の原動力となったんだと思います。」
太田 英基
「特にすごい志は無かったです。田舎出身で夢と憧れを抱きながら東京に出てきて、いつかは独立したいという気持ちがありました。そのため大学でも経営学を専攻しましたが、4月下旬の経営学の授業で大学の授業はつまらないと感じ、大学に行くモチベーションが下がってしまいました。大学生活このまま腐って終わりたくないという思いと、何かをしてやろうというエネルギーはあったため、インターンを始めました。インターン先の仲間と思いついた「タダコピ」のアイデアについて突き詰めて行った延長線上に起業がありました。
ここまでが1回目の起業についての話で、二回目については「世界を舞台にできるようなサービスを作りたい」という思いが元々ありました。
30歳までにはやると決めていて、当時27歳の頃、一度就職するのもありかなと考えていました。ちょうどその頃、某商社と政府の合同プロジェクトに誘われましたが、結局自分で何かをやりたいという思いと、何が日本にとって必要なのかを考えて、「日本人が世界を舞台に戦えるためのサポートをしたい」という気持ちで現在の事業を始めました。」
今西 良光
「二人の太田さんと比べると、自分は学生時代何も考えずにただなんとなく過ごしていましたね。
起業したきっかけは二つあり、一つ目はなんとなく入った会社で大企業の現実を知ったことです。
具体的には、キャリアステップの時間が非常にかかることや、新しいことにチャレンジしにくいなどの状況があり、一回しかない人生でその環境で働き続けることは辛いと感じました。
二つ目は、働く中で自分が解決したい課題が見つかったことです。周囲の人の中で精神的に追いつめられてしまう人なども出てくる状況の中で組織のあり方とマネジメントについて考えるようになりました。大企業の内側から仕組みを変えていくのは厳しいと感じたため、自分が外に出て仕組みをつくろうと思ったのがきっかけです。」
清水巧
「御三方のお話を聞いていると、自分がいる環境が満足できないから外に飛び出そうという、環境からくるモチベーションと、自分がこれをやらなきゃという使命感からくるモチベーションの二つがあると感じられますね。自分の場合は半々でしたが、一度勤めてみると自分でもっと早く起業した方がエキサイティングだと思っていたからです。では、次に起業する際にどんな不安があったか教えてください。」
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会社設立のメリット・デメリットから、設立後までの手順のまとめ
今西 良光
「正直感覚的な不安は無かったですね。日本なら最悪、起業して失敗してもアルバイトで食べていけるし、結婚もしてないから自分さえ食べられればいいと思っていたからです。とはいえ少しビビりな部分があり、きちんと準備したいなと考えていました。モラトリアムとして大学院に行き、仲間とビジネスプランをブラッシュアップしていました。ある程度周りの人に、自分が創業したらよろしくというコネを作ってから創業しました。
参加者 「自分は家族がいるため、借金などができてしまうリスクを恐れています。」
清水巧
「お金の部分については御三方どう思われますか?借金を恐れる方が多いように思われますが。」
太田 英基
「一回目の起業では起業することに対しての不安は全く無かったです。しかし起業をして月日が経ち同期が就職活動を始めた頃に、自分はこのままでいいのかと思い始めました。こうやって最高の仲間と最高のチャレンジができる機会が次いつ来るかわからないと考えていましたが、自分が食べていけないような状態では意味がないのでいつまでにどのような状態にいたいというラインを決め、ダメなら解散しようという認識で一年間がむしゃらに頑張ったんです。学生の中には起業していても、辞めて就職を考えている人がいるかもしれないが、本気でこれを続けたいと思っていない限りは辞めてもいいと思います。
ビジネスモデルが成功するかわからなくて不安
太田和光
「自分も始める前はそうでしたよ。現在のサービスを開発中、「本気で自分はこれがやりたいのか」「本当に周りの人が共感してくれているのか」と一年間ぐらい悩んだ時期があります。
周りの友達は18歳で起業している人が多くいましたが、自分はそれが出来なかったので、先輩起業家から学ぶ方法を選びました。インターン時代にマーケティングなどを勉強して自分自身の能力の蓄積することで、不安を払拭しました。起業する前までに自分自身がどういうスキルを身につけたいかや、どういう人間になりたいかというところに目を向けながら準備するとスッキリすると思います。」
太田 英基
「具体的に自分の事業計画や事業内容に不安があるようなら、壁打ちをする必要があります。アクセラレーターやインキュベーターといった有識者の人に相談をすると、競合や類似サービスの存在などを教えてもらえて、フィードバックにより自分のサービスをブラッシュアップすることができますよ。こういうニーズがあるからいいんじゃないかという仮説をしっかりと立てた上で壁打ちをしていくと、自分のサービスが世の中に受け入れられるのかどうかが割と明確になるはずです。まずは一回自分で調べて資料を作り、そういったところに持っていくのが早いと思います。」
清水巧
「今渋谷がすごくスタートアップで盛り上がっています。うまくいくかどうか不安なことがあれば、どんどんコミュニティーに突っ込んでいって壁打ちすると、一年間悩むはずだったことが一日で終わる可能性も有るんです。出会いは人生を変えるきっかけになるので、迷っているなら来てみるといいです。HiveShibuyaという誰でも参加できるスタートアップ系のイベントをやっている場所でSkylandVenturesの木下氏や、EastVenturesといった投資機関が運営されているので、相談にも乗ってくれると思うので連絡してみると良いですよ。コミュニティーに突っ込んでいくことで見える世界がガラッと変わり、不安要素が整理され、できないと思っていたことができるようなきっかけになります。だからまずは動き出してみるのが良いです!
完全無料で起業のプロに相談ができます。
ではみなさん、起業に関する後悔または大きな失敗はありますか?」
太田和光
「高校三年間授業でずっと寝ていて、英語をおろそかにしていたことを後悔しています。5月に開かれたTech in Asiaというイベントでシンガポールにいった時、飲食店で思うように注文すらできなかったです。起業する前にしっかり留学にいっておけばよかったです。」
太田 英基
「自分は英語のサービスをやっていますが、高校時代偏差値39をとったこともあるぐらい本当に英語ができなかったです。そのためできることなら英語と関わりたくないと思いながらタダコピを始めましたが、中国の起業家の社長と打ち合わせする時に、英語ができなさすぎて「自分はグローバルな舞台の土俵に立てていない」と感じました。」
太田和光
「アジアに行って東芝の現地の人と話したりしましたが、自分の伝えたいことの一割も伝えられないことが本当にもどかしかったです。大学院で座学の勉強を結構しましたが、座学だけではあまり役に立たないということを、起業してみて改めて実感しました。シードアクセラレーターなどから初期の資金調達をする際には、資本政策だけは戻れないことに十分留意をしたほうがいいと思います。起業のファイナンスの本を一冊読んでおくことをお勧めします。」
清水巧
「その他、起業後に何か後戻りできないことはありますか?」
太田 英基
「やっぱり仲間ですね。どういう形でJoinしてもらうかだとか、どういうことを言って来てもらうかが重要です。実際に前の会社であったことですが、「みんなでこの会社を経営していこう」と言ってメンバーを集めて言ったが、大人数で意思決定をするのは時間の無駄だと思ったため、もともとのメンバーで意思決定をしていくという結論になりました。その結果後から入ったメンバーが不満を言い始め、会社が荒れてしまったんです。経営者になるみなさんは仲間の人生を背負う覚悟を決めることが必要です。」
太田和光
「自分はサークルの後輩や友達を誘って会社を始めましたが、自分がガツガツ進めすぎたせいか、後輩が体調不良になるシーンがありました。仲間とどういう風に働くのかという点において自分自身の未熟さを感じた瞬間でした。」
清水巧
「最初から一緒にやってきた仲間が、ある日突然連絡が取れなくなるといったようなことってありますよね?」
太田和光
「ある日突然オフィスに自分しかいなかったということがあり、そういう痛みはあると思います。ただ、自分はこの人に株を持って欲しいという株主に株を持ってもらっています。そういう人とのつながりは大きかったですね。投資家の方やユーザーなどといいパートナーシップを築きながらやっていくのが大事だと思います。」
参加者 「どういった形でメンバーを集めて行ったのかを教えてください。」
太田 英基
「まずCombinatorというサービスを使うことが大前提ですね!!会社の成長に必要なスキルやバックグラウンドを持った人を採用するために、いろんな知り合いなどにこんな人材が欲しいということを言って回りました。半年後や一年後に会社に必要な人材を考えて、その計画のもとで採用活動を行っていくことが重要です。」
清水巧
「具体的にやりたいことを伝えるのが大事です。明確にビジョンを語ることができれば、自然と人が集まってきます。」
参加者 「自分はビジョンや事業計画はあるがスキルがないです。スキルがなければビジョンや事業計画があっても説得力がない気がするので、プログラミングなどを勉強した方がいいのかどうか迷っているんですが。。。」
太田和光
「結論から言うと、自分自身がスキルを持っていてよかったなあと感じます。しかし今に至っては自分がコードを書いたりすることはほとんどないんですよね。プログラミングやSEOを学んだ過程で身につけた思考が他のスキルに活きることがあるので、強みにはなると思います。スキル自体は協力者がいればそこまで重要ではないと思います。」
清水巧
「最後に参加者の皆様に1言お願いします!」
太田 英基
若い人ほど失うものが少ないのでチャレンジしてください。起業の時は、社会人経験もお金も人脈もなかったですが、情熱と覚悟があればヒト・モノ・カネ・情報は後からついてきます。だからやりたいこととやりきる覚悟と情熱があればうまくいくと思います!
今西 良光
「自分は遅めに起業しているので、これからやってみるかどうか迷っているような社会人の背中を押したい。自分の人生の時間は限られているし、失敗しても挽回はできるので、やりたいと思ったことはチャレンジして欲しいです。」
太田和光
「自分はヒトとモノをつなぐという点において世界に響くようなプロダクトを作っていきたいと思っています。そういう自分の姿を見て触発されて起業をするような人が出てきてくれるようがんばりたいと思います。」
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