株式会社設立の流れを徹底解説
- 株式会社設立の流れの解説
- 会社名・事業目標・本店所在地・事業年度の決定など
- 登記に必要な書類の準備など
株式会社設立を目指している多くの人にとって、最初のハードルとなるのが会社設立の手続きの煩雑さです。
用意すべき書類や出向かなければいけない役所も多く、万が一手続きを忘れてしまうと大きなミスとなってしまうものもあります。
そこでまずは株式会社を設立するための流れを確認し、1つずつクリアしていくのがよいでしょう。
株式会社設立の流れについては、あらかじめ諸々のことを決め、書類などを準備し、法務局などで手続きをします。
まず初めに行うのは、会社名の決定です。
商号とも呼ばれ基本的に自由に決められますが、同じ住所に同じ商号を登記することはできません。
そのため、会社名を決めるときの忘れてはいけないのが法務局で行う商号調査です。
商号調査を行うことで、同じ住所に同じ商号がないかを確認できます。
他にも検索エンジンで類似した商号がないかを確認したり、マーケティングの観点から名称を考える必要があります。
会社名を自社のホームページのドメインに入れたい場合は、ドメイン販売サイトを確認する必要があります。
・主なドメインサイト
会社名が決まったら、事業目標を考えます。
これは、顧客や取引先や銀行などに自分の会社が何を行っている会社なのかを示すためのものです。
会社を設立した後で事業目標を変更する場合は、法務局での変更登記手続きが必要となり3万円の登録免許税がかかります。
そのため、直近で行う予定がなくても将来的に行いたい事業も併せて考えておきましょう。
事業目標は第三者にわかりやすく具体的に決めなくてはならず、当然違法性や不正確な記載があってはいけません。
特に日本政策金融公庫からの融資を検討している場合は、慎重に考えましょう。
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また許認可が必要な業種を行う場合は事業目的に記載が必要な文言があるケースもありますので、事前に管轄する省庁などで確認を行いましょう。
会社の本店所在地も決めなくてはいけません。
これは会社のメインとなる住所のことであり、この住所によって管轄する法務局が変わってきます。
商号を決めるときに同じ住所に同じ商号がないかを確認しますが、この住所とは会社の本店所在地のことを指します。
自宅やテナント以外にも、レンタル・バーチャルオフィスやコワーキングスペースでも大丈夫です。
ただしマンションを本店所在地にする際、管理規約などに住居専用という規定がある時は注意が必要です。業種によっては規約違反となる場合があります。
また、レンタルオフィスなどで登記をする場合は銀行によっては口座の開設ができなかったり、事業資金の融資を受けられないケースもあります。
さらには、社会保険の加入が難しくなったり許認可が必要な業種では事業所に関して決まりがあることもあります。
立地についても管轄する自治体の制度融資に違いがありますし、そもそもそこにオフィスを設けるにあたっての利便性や家賃なども考慮しなくてはいけません。
他には事業年度も決める必要があります。
会社は1年毎に決算を行って会計を締める必要があり、その1年を事業年度と言います。
開始日は自由に決められますが、事業年度の末日が決算日となるため末日が月末になるように設定すると良いでしょう。
また、決算を税務署へ申告する際は決算日から2か月以内に行わなければならないので、自社の繁忙期と重ならないようにするのもひとつの方法です。繁忙期の前月を決算月とすることで、仕事に余裕ができたり節税がしやすくなります。
この決算の申告にあたる確定申告については、時間も手間も掛かるので会社設立時に税理士と顧問契約を結ぶことをオススメします。
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会社で事業を行うにあたって、運転資金にもなる資本金も設定しなくてはいけません。
金額については自由ですが、額が大きければ開業当初の資金繰りに困りません。
お金だけではなく物で出資することもできます。
考慮すべき点は運転資金以外にも、対外的に与えるイメージや節税面などがあります。
株式会社設立時に出資をした人は、設立後には株主となります。
つまり会社に出資をする見返りとして、出資した人である株主に配当が分配されるということです。
株主には議決権があり、株主総会では会社の重要事項が決められます。
株主は法人でも個人でも構いません。
また株式の譲渡は基本的に自由ですが、定款によって制限を設けることが可能です。
これは乗っ取りの防止をしたり、予期せぬ人に株式が譲渡されるのを避けるためのものです。
多くの中小企業では、この譲渡制限を設けています。
役員構成の決定も行います。
これは、会社の意思決定や運営などを行う人たちのことです。
例えば、取締役や監査役などが必要になります。
中小企業の場合、一般的には株主総会や取締役を設けます。
取締役が3人以上いると、取締役会も設置することができます。
取締役は欠格時効にあたらなければ誰でもなれます。
人数の制限もなく、代表取締役を複数人設定することも可能です。
会社で決算が確定した時などには、「公告」と言って一般に告知することが必要です。
官報や新聞でも行えますがこれらはある程度の費用が掛かるので、電子公告にすると良いでしょう。
自社ホームページがあればホームページで決算公告を行えば、新たな費用は発生しないので安上がりになります。
定款に電子公告について定めて登記申請をし、電子公告調査機関への調査の委託をします。
ただし決算の内容をあまり公にしたくなかったり、WEB上に資料をアップするのが苦手であれば官報にすると良いでしょう。
ホームページに比べて官報を日常的に見ている人は少なく、公告関連で定期的にホームページを更新する手間もなくなります。
必要事項を決定したら、役所などに提出するための書類の準備を行います。
発起人や役員の印鑑証明書を市区町村役場で取得し、本社所在地を管轄する法務局で商号調査を行い、設立登記を行うときに必要な法人実印を用意します。
また、法務局で事業目的の可否について事前確認を行います。
会社の根本規則である定款は、設立時に公証人による認証が必要です。
これは、本店所在地を管轄する法務局に所属している公証役場で行えます。
役員については、「就任承諾書」を記載してもらい設立登記時に法務局へ提出します。
また、設立時代表取締役を選び「設立時代表取締役選定決議書」を作成して併せて提出しましょう。
資本金については、出資者が振込を行い「払込証明書」を作成します。
物で出資する場合は、調査報告書を作ります。
その物に対して必要以上に株式が与えられないように検査役が調査します。
また、現物出資がある場合は「資本金の額の計上に関する証明書」も作成します。
これは、会社へ払込されたお金や物から設立時に掛かった費用を差し引き、登記簿に記載する資本金の計算を行うためのものです。
必要な書類などの準備が終わったら、管轄法務局で設立登記申請書を提出します。
基本様式は決まっていますが、司法書士などの代理人が申請を行うことも可能です。
また、別紙に登記すべき事項を記載し併せて提出します。
この時には、法人実印の「印鑑届出書」も一緒に提出して代表印として登録しておきます。
登記が完了して1週間から10日経つと、登記事項証明書が取得できるようになります。
この際、登記事項証明書と印鑑証明を取得し、都道府県税事務所や市区町村役場へ法人設立届出書と併せて提出します。
さらに、社会保険事務所で健康保険と厚生年金保険の加入手続きを行い、労働基準監督署やハローワークなどで労災保険と雇用保険の加入手続きも行います。
他には、会社名義の銀行口座やクレジットカードも作りましょう。
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