個人でスモールM&Aをする時のメリットデメリット、注意すること

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個人事業や小規模会社の間でスモールM&Aを行うことは多くなってきています。スモールM&Aなら比較的安価で企業の継承・買収ができるので、近年では個人投資家からの注目度が特に高いです。しかし、スモールM&Aにはデメリットもあります。

そこでこの記事ではスモールM&Aのメリットやデメリット、実施するうえでの注意点などについて解説します。

スモールM&Aを実施するメリットは?

スモールM&Aにはたくさんのメリットがあります。

まず個人が0から企業や事業を興す場合、しっかり構想を練っておかないと事業が失敗してしまう可能性があります。しかし、スモールM&Aの場合は既に存在する企業・事業と自社を合併させるので、新しいことをするにあたって必要な手間を省くことができます。 新しいことを始めるにはスピードが大切です。時間がかかりすぎることによって事業計画がだめになってしまうこともあります。

そこでスモールM&Aであれば合併するにあたって必要な計画を固めておくだけで十分です。そのため、新事業にスピーディーに取り組めます。

また新事業を始める際、最初のうちになかなか顧客が見つからなかったり、失敗してしまったりする可能性があります。 特に個人事業主や小規模事業だとちょっとした損失でも取り戻すのが大変でしょう。そのため、リスクは最小限に抑えるべきです。そこでスモールM&Aを行えば、ある程度軌道に乗っている事業を経営できるので、新事業を始めるよりもリスクが少ないです。

それに加え、スモールM&Aなら後継者不足も解決できます。2017年に経済産業省が発表した資料では、2017~2027年の10年間に平均引退年齢である70歳を迎える中小企業・小規模事業者の経営者は245万人と言われています。しかし、そのうちの約半数の企業が後継者が決まっていません。

そこでスモールM&Aを行えば、後継者がいない企業が廃業せずに済みます。中小企業が廃業してしまうと、そこで働いている人たち働く場所がなくなってしまったり、取引先が仕入れ先・販売先を失ってしまったりします。既に取引先が確保できているので、安心してM&Aができるでしょう。経営者も引退時にキャピタルゲインを獲得できるので退職金に関する心配も必要ありません。

スモールM&Aを実施するデメリットは?

スモールM&Aにはデメリットももちろんあります。スモールM&Aは負債も買い手側が請け負うことになってしまうので、負債に関する確認をしっかり行うべきでしょう。やはり売り手側はスモールM&Aをして自社を買い取ってもらいたいという考えが強いです。しかし、M&Aを行う際には負債などを隠さないために契約書に表明保証の項目を設けるところが多いです。

売り手側の企業が嘘の情報を記載していた場合、損害賠償請求を行うことができると記載することができます。そのため、M&Aを行う際には売り手側企業が買い手企業に包み隠さずに情報を提供しますが、中には情報を隠す企業も存在します。そうすると表明保証違反となり、訴訟問題となってしまうことがあります。

また、スモールM&Aは成功率が低いというデメリットもあります。成功率が3~5割程度と言われており、交渉が決裂してしまったり、そもそも買い手が見つからなくてM&Aの計画がなくなってしまったりすることが多いです。 条件が合わない買い手が見つからないと企業が存続の危機に陥ってしまいます。そうならないためにしっかりと事前に入念に準備をしたうえで売り手側の企業はM&Aを行う必要があると言えるでしょう。

スモールM&Aを実施する際の注意点

しっかり注意すべき点を把握したうえでスモールM&Aを実施しないと交渉が決裂してしまったり、売り手側もしくは買い手側にとって損な契約を結んだりすることとなってしまうでしょう。そのため、スモールM&Aを実施する際は注意点をしっかり把握しておく必要があります。

まず、既に取引がある企業でもそうでなくても、スモールM&Aを実施する際は必ずM&Aの仲介業者など専門家に仲介してもらいましょう。M&Aを実施するには様々な契約を結ばなければいけません。企業経営に関する法律に詳しいと思っていてもM&Aを実施する際はM&A専門の知識がないと不利な契約を結ぶこととなってしまいます。

万が一M&Aに関する専門的な知識を持たずに契約を結んだ場合、相手の企業に理不尽な条件を提示されてしまっても飲まなければいけなくなってしまう可能性があります。そうならないためにもプロに任せて売り手側と買い手側が対等な関係性となれる契約を結びましょう。

また、M&A仲介業者はしっかり吟味して選ぶ必要があります。基本的に自分と関わりがある企業でM&Aを実施したことがある企業があるのなら、その時に利用したM&A仲介業者を紹介してもらうと安心です。 M&A仲介業者を選ぶ際には実際の評判に加え、担当者との相性も大切と言えます。実際に担当者に会ってみて、信頼できるかどうかを判断しましょう。

それに加え、M&Aを実施することを口外することは絶対にしてはいけません。万が一M&Aをすることが知られてしまうと業績が悪いなどマイナスイメージを持たれてしまう可能性があります。 そして、スモールM&Aを実施する段階に入ったら、売り手側企業の財務状況をしっかり確認しましょう。

M&Aを実施する際にはデューデリジェンスと言って調査を行うのが基本ですが、既に信頼関係が築けていると思って契約を結ぶと実際は負債があったなどというトラブルが起こる可能性があるので、相手との信頼関係に関係なく必ずデューデリジェンスを実施しましょう。

特に中小企業では簿外債務など貸借対照表に反映されていない債務がある可能性が高いです。そのため、デューデリジェンスを自社だけでなくM&A仲介業者など第三者にもチェックしてもらいましょう。 そしてスモールM&A実施後は従業員のメンタルケアを行いましょう。

やはりM&Aを実施すると職場の環境が変わるため、従業員は不安を感じやすいです。そのため、M&Aを実施することを従業員に公表する際にしっかり従業員の意見に耳を傾けましょう。

また、このタイミングで企業に対して不信感を持ち、退職してしまう従業員が発生する可能性がもあります。特にM&Aを実施するタイミングは給料が下がりやすいです。そうならないように給料を現状維持もしくは上げるなどして、社員の心が会社から離れないようにしましょう。

統合後に2社の従業員間で仕事のやり方などの面で衝突が起こる可能性も考えられます。そうならないように、特にM&Aを実施して当分の間は従業員の面談を行うして労働環境の改善を行い、社員が新しい環境に馴染めるようにサポートを行いましょう。

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