中小企業は独自化で生き残ろう!株式会社スペースグッドタイム 副社長 陽田 高広さん

ポイント
  1. 27歳で倒産を経験
  2. 美容機器販売で再チャレンジ
  3. 失敗を活かした働きやすい職場づくり

中小企業が生き残っていくための一つの正解が「独自化」していくことなのではないだろうか。

そんな仮説からスタートした、経営者のインタビュー連載「中小企業は独自化で生き残ろう!」。

いよいよこの連載も残すところあと2回になりました。

第12弾は、株式会社スペースグッドタイム 副社長 陽田 高広さんです。

(聞き役:頼母木 俊輔 助っ人編集長)

いきなりの雇われ社長

−陽田さん、今日はよろしくお願いします!さすが美容器具を扱っている会社の方だけあって顔がツヤツヤしてますね!

陽田)ありがとうございます!自社のサロンに通っているので!ツヤツヤよりも、顔がまんまるですねとは、よく言われますけどね(笑)

うちの会社は主に3つの事業がありまして、1つは主に美容サロン、エステサロンなどに、業務用の美容機器を販売をするという事業です。

その中で主力製品となっているのが、コラーゲンマシンという機械で重さが150㎏〜300㎏くらいある大型の機械です。

美容効果があると言われている、特殊な波長の光を全身に浴びることができる機械で、見た目は日焼けマシーンに似ています。

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2つ目は、エステティックサロン事業で、銀座、山形、仙台に店舗があります。これらの直営店が自分たちが扱っている商品を知ってもらう、体験してもらうための場所にもなっています。

3つ目が、主にエステティシャンに特化した人材派遣業です。4つの事業で売上は4億よりちょっと少ないぐらいですかね。

−陽田さんが立ち上げた会社なんでしょうか?

いえ、僕はね、副社長なんです。20年くらい大手のエステティックサロンでやっていた経験豊富な人が立ち上げた会社で、6年ほど前から一緒にやらせていただいてます。

実は僕、2年間だけサラリーマンをした後、独立したことがあるんですよ。独立したというか、勤めていた会社の子会社として雇われ社長みたいな感じになりました。

その時一緒に働いていた社員さんからしたら、今まで同列でやっていたスタッフが、いきなり出世して社長になったみたいな状態です。

−大抜擢ですね。めちゃくちゃすごいじゃないですか。営業で数字がダントツだったとか、そういうことですかね?

営業成績だけはすごく良かったんですけど、ダントツ良かったわけではないので、けっきょく周りからしたら、ちょっとできるやつが俺より年下なのに出世しているみたいに思われてしまい、かなり反感を買いました。

そんな状態で自分も経営に対する準備や考えもなかったので、スタッフからの信頼を得られずに辞める人もでてきました。

僕の失敗は、要は経歴があるような人、給料が高い人を雇ったら会社も儲かると思っていたんですよ。

つまり、俺は給料が100万だったよという人を雇ったら、会社に対して500万も600万も毎月の利益をもたらしてくれる人だという甘い考えがあったんです。

高い給料を要求するからには、それだけ仕事をするだろうなと。でも違ったわけですね。

それで、売り上げがどんどん下がっていって、給料がどんどん上がっていって、けっきょく口座にお金がなくなっていきました。

そこまでの致命傷になる前に誰かに相談できていたら、そんなことにならなかったんでしょうけど、誰にも相談できずに、生活費をパチンコ台に入れて一発大逆転を狙うような人の精神状態になっていました。

当然V字回復などせず、そのまま最悪な形で倒産しました。社員にボコボコにされて、今も顔の腫れがひきません。

金融機関以外の借金を合わせたら、うん千万の負債です。就職しても払いきれる借金じゃなかったので、けっきょく独立するしかないということで。

昔からインターネットは好きだったのでオークション代行とか、そういうのを一人でやって、ちょこちょこお小遣いを稼いだりして、借金を返していました。

マイナスからの再スタート

−うわーなかなかハードな人生ですね。それで今の会社に縁あって入れてもらった感じですか?

はい、そうですね。きっかけはコラーゲンマシンです。海外で日本には入っていない最新の美容機器ですよと紹介されて、自分たちのサロンに入れたいとなったのですが、これだけ大きな物なので1台輸入しても10台で輸入しても、大してコストが変わらないんですよ。

だったら、まとめて何台か輸入しようかと検討しているうちに、これは事業になるんじゃないかという話になって、それだったら僕がお役にたてるかなということでこの事業を担当させていただくことになりました。なんせ、この大きさじゃないですか。簡単な移動でも4人がかりで動かすのが、大変ですからね(笑)

−確かにこれを扱うのは大変そうですね。

はい、その当時、美容機器を扱っている会社を調べたところ、お店に美容機械を持っていって、お店で使って見せてデモンストレーションをやって、「いかがですか?この機械を買ってもらえませんか?」という営業のやり方が主流だったんですね。

となると、基本的にヤマトとか佐川が運んでくれる大きさものしか美容機器は扱わないんですよ。

−そういうやり方だったらそうなりますよね。

はい、専門に運ぶ人も必要だし、これを専門に設置する人も必要なので、僕たちがこれを取り扱っても大手が出てくることはないなと思ったんです。

−たしかに大手は、もっと小さくて単価の良い、営業効率のよい商品を扱いますよね。大手がめんどくさい、効率が悪いと感じるところにチャンスがあったんですね。

営業ははじめから順調に進んだのでしょうか?

いや、全然売れなかったです。正直簡単に売れるだろうと思っていたんですよ。だって日本にない機械でうちでしか扱っていないんだから。でも、なかなか現実はそんなに甘くなかったですね。

僕たちのような美容機器メーカーは、東京ビッグサイトで開催される各企業の合同の展示会に出展するのが主なんですが、見た目が日焼けマシンだし、みなさん認知はないし、そもそもこんな大型の機械をお店に入れるという考えがないんですよね。

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東京ビックサイトの展示会会場

1年目はホントに何をしても売れないので、損しなければいいやくらいの金額に割引して、半分土下座みたいなもんですよね(笑)それで1年間かけて、5台とか6台しか売れていない状況だったと思います。

−なかなか厳しいですね。そこからどう改善していったんですか。

いままでのやり方ではダメだと思って、販促の仕方を学んで、自分たちが伝えたいこととお客さんが受け取りたいことというのは、全然違うんだよということを知りました。

だいたい売り手側が伝えたいことは、買い手側は聞きたくない情報。ほとんどの人は、買い手側が聞きたい情報とは全く別なことを伝えようとしていると言われて、ハッとしたんです。

展示会では、「 633nmのピンクの可視光線が、肌の奥の真皮にある線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成を促進する機械。エステ業界だけでなく、美容クリニック界でも注目の機械です!」って大々的にアピールして販売していたんですが、いっこうに伝わりませんでした。

だって意味分かりませんよね?僕だって今改めて見て、この人何言ってんだ?って思いますもん笑

全く伝わらず、売れず、色々と考えた結果、展示会に来ている人は、別に最新の機械が欲しいのでもなく、ただ自分のお店をもっと盛り上げたい。商売繁盛したい。

そのためのヒントがないかなと思って来ている人がほとんどだなって思ったんです。

であれば、もっとお店が盛り上がる方法だったり、もっとスタッフやお客さんが喜ぶ方法だったり、経費削減ができる方法だったり、きっとそういった情報が欲しいんですよね。じゃあ、それにあった伝え方をする必要があるなって。

伝え方を変えて話題に

−実際にはどんな風に伝え方が変わったんですか?

コラーゲンマシーンという製品の良さはもちろん伝えますけど、それよりも、その機械を導入することによってお店の売り上げがどういう風に変わっていくか、お客様がどういう風に喜んでいるか、スタッフさんたちにどういったメリットがあるかを、具体的に伝えていくようにしたんです。

こうやって展示会の方法を変えて、情報発信の仕方を変えていったら、徐々に認知が広まって、雑誌やテレビで取り上げられるようになり、すごく売れるようになったんですね。

展示会にどうせお金をかけるんだったら、写真を撮ってもらえるようなブースにしたら、面白いものを見つけたよってSNSに投稿してくれる人が増えるんじゃないかなと思って、いろいろ考えた結果、コラーゲン神社というのを作ったら面白いんじゃないのという発想になりました。

このコラーゲンマシンは、エステティシャンを増やさなくても売り上げを上げる、メニューを増やすことができるという機械なので、これをご神体に見立てて、美人の神様と商売繁盛の神様がいるという設定で、大きな鳥居を建てて、美人祈願と商売繁盛のお参りができますよというブースにしたんですよ。

さらに、巫女さんの衣装、これを着て写真も撮れますよ、顔出し看板なんかもできますよとしてみたら、思いのほか写真と撮ってくれる人が多くて。

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僕があとから #コラーゲン神社 で調べたとき(エゴサーチ )に、全部は追いきれなかったですけど、大体100人くらいの人が投稿してくれてたんですよね。

当時SNS上で1人の人は、平均で300人と繋がりがあると言われていたんですね。100人が投稿してくれるたってことは、もしかしたら100投稿×300で3万人に情報が届いている可能性がありますよね、うちのブースだけ。

−すぐ目に見える効果というのがあったんですか?

それ以降、展示会にはコラーゲン神社を目指して来ましたという人が、けっこう増えました。展示会って新規のお客様を獲得するようなイメージが強かったんですけど、既存のお客様が喜んでくれるようになったんですよ。

展示会というのは、新規のお客様を獲得するためのものだなと思っていたんですけど、やり方によっては既存のお客様との関係性を深めたり、既存のお客様が笑顔になってくれるようなやり方ができるんだなって。

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−社員の人と接するとき心掛けていることは?

以前はスタッフに対する言い方とかも偉そうになっちゃってて、ギスギスしていたこともありましたね。

お客さんに「 あなたの会社は大丈夫?今から言うTwitterをあなた見てみなさい 」って教えてもらって見たら、スタッフにすごい文句言われていました。消えてほしいとか、マジうざいとか。マジ丸すぎとか。今となっては笑えますけど、当時はキツかったです(笑)

でも、そんな彼女とも今では仲良くなり、更には会社の幹部になるほど成長してくれました。

要は、商品やサービスだけじゃなく、人に伝える力も僕には足りてなかったということです。また、以前と同じ失敗を繰り返すところでした。

僕は美容健康の会社にいながら美容健康のことは全く詳しくないですし、美容健康のことが、他の社員たちはみんな好きなんですけど、僕はそれほどじゃないんですよね。

この仕事が好き、携わりたいっていう気持ちでは社員に負けちゃうんです。だから、美容とかエステのことは教えてあげられないし、技術なんかも全然教えてあげられない。

僕が教えてあげられるとしたら経営者として、この会社にどういう風に関わって欲しいとか、生きてく上で重要なことは伝えられるなと思いました。

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だから月に1回とか2回とかは、研修とか僕がセミナーをする時間を作ってます。うちの会社にいる時間は限られていて他社に移ってしまうかもしれないけど、ここで学んだことでその人の人生が少しでも豊かになればいいなと思ってやっています。

スタッフが辞めない働きやすい組織

−具体的にはどんな研修をしているんですか?

お金の使い方とか、転職の仕方とか。うちの会社を辞めたいなと思っちゃったら、それはしょうがないと思うんですよ。女性なので環境が変わることもあるんですよ。そうなった時でも困らないような方法や、お金の使い方、あとはリーダーシップについて。

女性の人は子どもを産めば、その時点ですでにリーダーですから、母と子という関係性ですけど、絶対に変えられないリーダーになるわけですよね、子どもにとって。もしくはPTAや地域の集まりなど、リーダーになる機会はいろんなところにあるわけなので、そういったことを伝えています。

うちの会社は女性ばかりだから、すごい出入りが激しいようなイメージがあるかもしれません。でも、うちは出産とか子育てとかがあっても、終わったら戻ってきたりしてくれるので、社会保険の番号があまり増えないんですよ。

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社会保険の番号って、一人新しい子が入るとその番号が増えていくんですよね。だから長年やっている割には、全然増えていかないんですよね。社員番号というのが。

−なるほど。記事にすると地味に見えてしまうかも知れないですけど、本当の企業の強みはそういう部分にあるんですね。

きっと陽田さんの想いや具体的な研修なども人が辞めない組織作りに繋がっていると思います。今後こういう風にしていきたいとか、やりたいことはありますか?

うちの会社の基本理念が、「健康寿命を100歳に」という理念があるんですよね。寿命がくるのはしょうがないとして、楽しく人生が終われるようにそこのお手伝い。

美容健康業界に携わっているうちの会社ができるとしたら、そこかなと思ってます。病気にならない体づくりとか、いつまでも健康で笑っていられること。それを中心とした商品とかサービスというのをどんどん増やしていきたいなと思っているんです。

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山形、仙台、東京の社員とその家族達で総勢50名で稲刈り体験

−今まででこれは失敗したなということは?

取扱商品は、今でこそ20アイテムくらいに収まっているんですけど、開発して商品として売り出した商品というのはその5倍以上あると思うんですよ。

そう考えると、ほとんどが失敗した商品でうまくいくことの方が少ないんですね。

−そうだったんですね。中小企業が独自化していくために重要なポイントは?

喜んで欲しいお客様の顔や名前が出てくるレベルで、細分化して考えることじゃないですかね。

例えば、うちは20代の女性がターゲットですといっても何百万人っているじゃないですか。

そういう人たち全員を喜ばせようと思ったら、大企業レベルの資金力が必要になると思うんですよ。

例えば、僕のおばあちゃん、たったこの一人を喜ばしたい。

ぼくのおばあちゃんが喜んでくれることは何だろうと考えたときに、それを実現するサービスはニッチなサービスかもしれませんが、日本人だけでも1憶2000万人いるわけですから、絶対他にも喜んでくれる人がいるし、こんなの欲しかったという人がきっといるはずです。

−経営で大事なことを、あえて3つに絞ってあげるとしたらどんなことがありますか?

ふんわりとしていますけど愛されること

価値観の共有

信頼、ですね。

ちなみに自宅を出る時に忘れちゃいけないものが、財布、スマホ、オクノヤさんのタバコです。

−あのー、いくら喜んで欲しい人の顔を思い浮かべるのが大事でも、身内ネタは伝わらないので、やめてもらっていいですか(笑)

経営者になりたての自分にアドバイスをするとしたら?

たくさんチャレンジしてたくさん失敗しなさい。かな。いや、でももう結構失敗してるんだよなー(笑)

−ですよね(笑)まだまだ聞けてない事の方が多そうですが、次の取材の予定もあるので、今度一緒に飲みに行った時に教えてくださいね!

ありがとうございました!

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